編集部員が見つけたアレコレ
編集部員レポート/編集部N
タフトくらぶでも告知させていただいた「ハイドロキシアパタイト講演会 患者さんの歯を“より健康な”状態へ導く、画期的なアプローチ」が、2023年11月16日(木)に開催されました。
登壇してくださったのは、ハイドロキシアパタイトを深く研究されている高輪歯科院長の加藤正治先生とテキサス大学総合歯学部カリオロジー講座・教授Prof. Bennett T.Amaechi(以下アマエチ教授)。
最初は、アマエチ教授の講演です。
カリオロジー学を専門にしており、もともとはフッ化物をよく使っていたアマエチ教授。それだけではハイリスクの患者さんのカリエスコントロールを十分にできなかったため、他にいい素材はないか探していました。そんなとき、国際会議でサンギ社がハイドロキシアパタイトを紹介しているのを発見。「これは有効な素材だ」と考え、研究に取り組むようになったそうです。
講演では、ハイドロキシアパタイトが歯科界で扱われるようになった経緯や、効果を証明する臨床研究、基礎研究について話してくださいました。
とくに会場の反響が大きかったのは、複数の歯みがき剤を使ったカリエス予防の研究です。抜歯した歯から健全なエナメル質をブロック状にカットし、濃度の違うハイドロキシアパタイト配合の歯みがき剤2種類と、フッ化物入りの歯みがきペーストを使ってそれぞれ脱灰が起こるか調査。結果すべての歯みがき剤で脱灰が起こらず、ハイドロキシアパタイト入りの歯みがき剤だけで予防効果があることがわかったのです。
「さまざまな研究の通り、ナノ粒子薬用ハイドロキシアパタイトが患者さんにとってよい効果を発揮することは明らかです。ぜひ臨床で積極的に使ってください」
こう締めくくって、アマエチ教授の発表は終了しました。
続いて、加藤先生の講演です。
「アマエチ教授のお話にもあったように、アパタイトというのはたくさんの機能があります。なので臨床では“ただ塗る”のではなく、“目的意識をもって塗る”ということが大事になってきます」という重要なお話からスタート。
2023年11月に発売された書籍『エナメル質・象牙質・補綴物のプロフェッショナルケア2 [歯面修復型ケア]ナノケア』に触れながら、ハイドロキシアパタイトの効果を6つのカテゴリーに分け、それぞれの重要なポイントを解説してくれました。
医院での症例もたくさん紹介され、実際に活用するイメージがわく講演でした。
最後は、加藤先生とアマエチ教授への質問コーナー。参加者からの質問に、お二人が答えます。
特に多かったのは、「フッ化物とハイドロキシアパタイトの再石灰化の違いを知りたい」というもの。まずはアマエチ教授から、基礎研究でわかっていることを教えていただきます。
「フッ化物は歯の表面に効果的に働きかけます。ですが表面が再石灰化すると、ミネラルイオンが通る穴が塞がれ、表層下の再石灰化ができなくなってしまう。一方、ハイドロキシアパタイトは表層下まで均一に再石灰化することができる。これが2つの違いです」
加藤先生からは、現場で実際にフッ化物とハイドロキシアパタイトをどう使い分けているかをうかがいました。
「私のところでも表層下脱灰を治したいというときは、アパタイトを最優先に使うようにしています。なかなか清掃がうまくいかないとか、本当にハイリスクな方には、フッ素洗口の併用をお勧めしますね。ただいくら高濃度のフッ化物でもミネラルは供給してくれないので、アパタイトを使うようにしています」
最後にお二人から会場のみなさんへメッセージをもらい、4時間半にわたる講演会は終了です。当日参加してくださったみなさま、ありがとうございました!
国内外で多くの人が興味を持ち、研究を重ねているハイドロキシアパタイト。タフトくらぶでも定期的に情報発信していきたいと考えていますので、楽しみにしていてください♪