長い人生の中の“小児”
むし歯や歯周病は、ある日突然発症するわけではありません。口腔内の状態やセルフケア習慣、生活環境など複数の原因が組み合わさって、長い時間をかけて進行します。だからこそ、幼少期に“良い土台”をつくれるかどうかが、歯を守るための重要なカギになってきます。
とはいえ、子どもは身体のつくりや性格、生活環境が目まぐるしく変化し、オーラルケアに力を入れられない時期も多々あります。なるべく負担をかけず、効率的に歯を守るにはどうしたらいいでしょうか?
下記のグラフをご覧ください。 これは、1歳から19歳の間でケアに必要な時間を調べたもの。
1-2歳、5-7歳、11-14歳の3つのタイミングで、特に時間や労力をかけてケアする必要があることがわかります。時間がかかるのは、リスクが高いからこそ!
それぞれの時期にリスクが高い理由と、適切な予防方法を見ていきましょう。
ハイリスク年齢1. 1-2歳
生後19-31ヶ月は“感染の窓”と呼ばれ、ミュータンス菌に感染しやすい時期です。口腔内の状態が悪い保護者が食器を共有することで感染してしまったり、保護者が子どもの歯磨きに熱心でない場合も細菌が増殖します。
- ミュータンス菌が感染しないよう、周りの大人が自分の口腔ケアをしっかりと行なう (出産してからではなく、妊娠中からケアができると◎)
- 母と子の悪い食習慣を予防する
ハイリスク年齢2. 5-7歳
5-7歳は、第一大臼歯が萌出する時期です。14-17ヶ月と非常に長い時間をかけて萌出し、この間は咀嚼による摩擦が働かないためプラークがたまりやすい状態(とくに遠心窩と中心窩に対応する裂溝)。さらに萌出途中の歯は未成熟のため、むし歯になりやすくなっています。
- 萌出途中の第一大臼歯(とくに裂溝)を集中的にケア
- リスクに応じてシーラントを行なう
- 3列ブラシではケアしづらいのでワンタフトブラシを活用するのがオススメ!
ハイリスク年齢3. 11-14歳
11-14歳は、第二大臼歯の萌出する時期です。萌出しきるまでの期間はなんと16-18ヶ月。新しく萌出した臼歯の隣接面はエナメル質が第二成熟をしている途中で、むし歯になりやすくなっています。
- 第二大臼歯咬合面を集中的にケアする
- 大臼歯隣接面にフロスを通す(歯肉縁下まで)
- 咬合面はワンタフトブラシ、隣接面はフロスでケアを!
- 小児のうちに“良い土台”をつくることが、将来の健康につながる
- ハイリスクな時期に、リスクに合ったケアを行なう
ペール・アクセルソン.2009年.『本当のPMTC その意味と価値』.株式会社オーラルケア.