フッ化物3つの作用
フッ化物には、「歯を強くする」「再石灰化を助ける」「酸をおさえる」という3つの作用があります。
歯を強くする(歯への働き)
フッ化物がエナメル質に取り込まれることで、主成分であるハイドロキシアパタイトの構造が安定。酸に溶けにくい丈夫な歯になります。
再石灰化を助ける(歯への働き)
唾液中に含まれるカルシウムイオンやリン酸イオンと一緒に歯の表面にくっつき、再石灰化を助けて脱灰部分を元に戻します。
酸を抑える(細菌への働き)
エノラーゼ(ミュータンス菌が糖を分解するときに使われる酵素)の働きを邪魔します。結果的にミュータンス菌は糖を分解しにくくなり、酸がつくられにくくなります。
フッ化物を効果的に使うには?
フッ化物をより効果的に使うために、気をつけたいのが下記の2つです。
Point1 リスク部位のプラークコントロールをしてから使う
フッ化物はプラークの上からよりも、歯に直接付けることで浸透しやすくなります。
上記のような、むし歯や歯周病になりやすく細菌がたまりやすい部位(リスク部位)は、とくにフッ化物を浸透させたほうがよいところ。プラークを取り除いてから塗布していきましょう。
≫リスク部位について詳しくは、「歯を守るためのセルフケア」
患者さんが家でもケアできるよう、染め出しなどを活用してリスク部位を共有することも大切です。
Point2 口腔内にしばらく停滞させる
フッ化物は必要な部位に継続的に存在していることが理想的。ですが、うがいや飲食で簡単に流れてしまうので、意識的に停滞させる必要があります。
ここでは、スウェーデンで推奨されている「トゥースペーストテクニック」をご紹介します。
トゥースペーストテクニック
1. 歯ブラシにフッ化物配合歯磨剤を2㎝つける。
2. 2分間ブラッシング(途中吐き出さない)。
3. 歯磨剤を吐き出さずに、少量の水(5-1㎖)で30秒ゆすぐ。
4. その後2時間は飲食しない。
ぜひ患者さんに提案してみてください。
- フッ化物の作用「歯を強くする」「再石灰化を助ける」「酸をおさえる」
- リスク部位のプラークを除去し、直接塗布する
- 塗布したあとはしばらく口腔内に停滞させる