リスク部位にフォーカスしたPMTC
PMTCの目的は、むし歯や歯周病から確実に歯を守ること。そのため「リスク部位のバイオフィルムを確実に除去」しつつ、「できるだけ歯面を傷つけない」ことが大切です。
PMTCの生みの親である歯科医師、ペール・アクセルソン博士はこう言っています。

混同しがちなポリッシングやスケーリングとの違いは以下の通り。
PMTC | ポリッシング | スケーリング | |
---|---|---|---|
取り除くもの | バイオフィルム | ステイン | 歯石 |
行なう部位 | リスク部位 | すべての歯面 | 必要な部位 |
目的 | むし歯・歯周病の予防 | ステイン除去 歯面の潤沢化 | 歯石の除去 |
それでは、具体的な流れを見ていきましょう!
PMTCの流れ
準備1. 歯石やステイン、オーバーハングの除去
隣接面の縁下を清掃する際に邪魔になるので除去しておきます。
準備2. プロービング、ディブライドメント
プロービングを行ない、4mm以上のポケットや出血している箇所がある場合はディブライドメントを行ないます。
PMTC1. 染め出し
まず染め出しをし、バイオフィルムが残っている部位をチェックします。染め出し液は2色に染まるものが、リスク部位の優先順位を付けやすくてオススメです。
PMTC2. 患者さんと一緒にリスク部位はどこか考える
患者さんが自分で「どこが磨けていないだろう?」と考える時間を設けると、口腔内への関心が高まります。
PMTC3. リスク部位のバイオフィルムを除去する
リスク部位をケアしていきます。まずは肉眼では見えない「大臼歯隣接面」と「歯肉縁下」から。
- 隣接面の歯肉縁下:フロスを使用し、歯肉縁下2~3㎜までしっかり挿入します。
- 頬舌側の歯肉縁下:頬舌側の歯肉縁下にはラバーカップを使います。バイオフィルムが厚い右下の6・7番からカップを当て、しっかり縁下に入れましょう。カップがラッパ状に開くと、きちんと当たっている証拠です。

上記2点のバイオフィルムが取り除けたら、口腔内を再チェック。染め出しが残っている部位は、いつも磨けていないところなのか確認します。

リスクがなければむやみに機器を使わず、ワンタフトブラシや綿球でやさしく拭き取ります。PMTCで大事なのは「リスク部位のバイオフィルムを確実に除去する」こと、「できるだけ歯面を傷つけない」ことです。
PMTC4. トリートメントケア
研磨剤を使用することで、少なからず歯面には傷がついています。このままだと、その傷を足掛かりに細菌が付着したり、着色したりと悪い影響が。患者さんが次の来院時まで歯を守っていけるよう、トリートメントケアでなめらかな歯面をつくります。

- トリートメントケア専用のペーストを4cm出す(全顎分。1歯につき0.5mm大)
- コントラの回転数は500~1000回転
- やわらかいラバーカップを使い、1歯面あたり3~7秒やさしく刷り込む
PMTC5. フッ化物塗布
最後は必要に応じてフッ化物塗布を。簡易防湿をして、隣接面や歯頸部などリスク部位に届くよう塗布します。塗布後はフッ化物を停滞させるため、30分~1時間飲食を禁止にしてもらいます。
これで終了です! リスク部位にフォーカスすると余計な歯面を傷つけないだけでなく、時間も有効に使えます。
PMTCを通じて「自己診断力」を育む
PMTCはプロフェッショナルケアですが、むし歯・歯周病を予防するだけでなく、患者さんの「自己診断力」を育む時間にもなります。
自己診断力…自分の口腔内の状態を理解する力、対策を考える力
患者さんとコミュニケーションをとる時間として有効的に活用しましょう。以下のようなタイミングで、声をかけてみてください。
染め出しをした後
リスク部位を確認した後
クリーニング中
トリートメントケアの後
- 本当のPMTCとは、リスク部位を集中的にクリーニングすること
- ただ施術を行なうだけでなく、自己診断力を育む時間に
ペール・アクセルソン.2009年.『本当のPMTC その意味と価値』.株式会社オーラルケア.